カンヌ国際映画祭「監督週間」に公式選出!『9 Temples to Heaven』Sompot Chidgasornpongse監督、プロデューサーKissada Kamyoungインタビュー

『9 Temples to Heaven』は、TGFM 2024に選出されたプロジェクトであり、2026年5月に開催された世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭の監督週間に公式選出されました。この優れた結果を受けて、TGFMは本作の監督Sompot Chidgasornpongse氏とプロデューサーKissada Kamyoung氏にメールインタビューを実施しました。

Sompot Chidgasornpongse監督 Kissada Kamyoung プロデューサー

TGFM: 世界で最も権威ある映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭に参加して、どのような印象や刺激を受けましたか?

Sompot & Kissada: カンヌは、映画を愛し、その価値を真剣に受け止めている人々の熱気に満ちた場所でした。晴れ渡る海辺を歩いていると、業界の仲間や映画監督の友人たち、さらには以前から尊敬していた監督たちとも自然に出会えるような場所です。今年は幸運にも雨があまり降らなかったこともあり、とても恵まれた環境でした。

映画祭全体の雰囲気は非常に刺激的でした。自分たちの作品をそこで発表できたことは、興奮すると同時に圧倒されるような経験でもありました。キャストやスタッフとともにこの映画祭を共有できたことは、本当に素晴らしい思い出になりました。

© DelphinePincet-SD

TGFM: この物語はご自身の家族の体験から着想を得たと伺っています。映画化しようと思ったきっかけを教えてください。

Sompot: 家族と一緒にお寺へ行くことは、子どもの頃から私にとってごく自然な日常の一部でした。精神性や、それを儀式という形で表現することは、私たちの日々の暮らしに深く根付いています。

一方で、そうした日常の営みは、文化や社会制度といったより大きな枠組みの影響も受けています。私は以前から、そのような複雑さを、自分自身が実際に経験してきたことをもとに、できる限り繊細で誠実な形で描きたいと考えていました。

TGFM: この作品を国際共同製作として進める中で、最も大きな課題は何でしたか?

Kissada: 最も大きな課題の一つは、それぞれ異なる製作システム、資金調達の仕組み、法制度を調整しながら、作品にとって最善の形を見つけることでした。

共同製作は当初のタイから始まり、シンガポール、フランス、ノルウェー、さらに香港、中国、インドネシアへと広がっていきました。それぞれのパートナーが異なる仕事の進め方や価値観を持っていたため、共通のビジョンを築くには、絶え間ない対話、柔軟性、そして互いへの信頼が欠かせませんでした。

幸いにも、作品の本質を尊重してくれる素晴らしい協力者に恵まれ、作品のアイデンティティを損なうことなく、国際的な展開を支える製作体制を築くことができました。

TGFM: 国際共同製作として、タイ以外のパートナーには作品の魅力をどのように伝えましたか?

Kissada: 私たちは、海外のパートナーに合わせるために作品を作り変える必要があるとは一度も考えませんでした。むしろ、監督の芸術的なビジョンや、日常の暮らしへのまなざし、観察、そして繊細な人間関係への関心を、できるだけ率直に伝えることを大切にしました。

この物語はタイの文化や仏教の伝統に深く根ざしていますが、家族、介護、老い、愛、喪失、信仰といった、国や文化を超えて誰もが共感できるテーマを描いています。そうした普遍性を、海外のパートナーも感じ取ってくれたのだと思います。

© Kick the Machine Films

TGFM: 長年アピチャッポン・ウィーラセタクン監督と仕事をされてきましたが、この作品を通してご自身の映画作家としての声を見つけたと感じた瞬間はありましたか?

Sompot: 23年間アピチャッポンと仕事をしてきたことで、間違いなく大きな影響を受けました。しかし、それと同じくらい、家族や友人、訪れた場所、さまざまな芸術作品、そして人生で経験してきた出来事からも影響を受けています。

この作品は非常に個人的なところから生まれたものであり、私はできる限り正直に向き合って制作しました。

もし「自分の声」というものがあるのだとすれば、それは一度見つけたら終わりというものではなく、時間をかけて少しずつ姿を現していくものだと思います。私自身、今もなお、その過程の途中にいます。

TGFM: 近年、アートハウス映画の国際市場はどのように変化していると感じますか?

Sompot: 私は今でも、観客は本物の表現や独自性のある映画体験を求め続けていると強く信じています。ショート動画やSNSの普及によって映像の楽しみ方は変化しましたが、それが映画館で映画を観る体験に取って代わるとは思っていません。むしろ、そのような時代だからこそ、映画館で作品を観ることの特別さや意味は、より大きくなっていると感じます。

アートハウス映画は今後もニッチな存在であり続けるかもしれませんが、じっくりと時間をかけて作品と向き合い、考え、新しい視点を得られる映画を求める観客は確かに存在しています。

一方で、競争は年々激しくなっています。今の映画作家は映画を作るだけでなく、創作活動を持続させる方法を考え、意味のある国際的なネットワークを築き、自分たちの作品を観客へ届けるための道筋も模索していかなければなりません。

TGFM: 今後、TGFMへの参加を考えているチームにアドバイスをお願いします。

Sompot & Kissada: 9 Temples to Heaven』は、完成に至るまで長い年月をかけ、多くのラボやマーケット、国際共同製作の機会を経て育てられてきた作品です。その歩みの中で、Tokyo Gap-Financing Marketは非常に重要な節目となりました。資金調達の機会を得られたことはもちろんですが、それ以上に、この作品を心から信じ、マーケット終了後も長く応援し続けてくれる人々と出会えたことが大きな財産でした。

私たちからのアドバイスは、とにかく応募してみることです。十分な準備をしたうえで参加しつつ、予定されたミーティング以外の対話にも積極的に心を開いてください。本当に価値のある成果は、その場ですぐに生まれるとは限りません。そこで築いた人とのつながりが、何年にもわたってプロジェクトやキャリアを支える長期的な協力関係へと発展していくこともあるのです。

© Kick the Machine Films

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